肺がん内科グループ Lung Cancer Study Group:LCSG

  1. TOP
  2. JCOGの組織
  3. 研究グループ
  4. 肺がん内科グループ Lung Cancer Study Group:LCSG

肺がん内科グループ Lung Cancer Study Group:LCSG

  • グループ代表者:大江裕一郎(国立がん研究センター中央病院)

  • グループ事務局:堀之内秀仁(国立がん研究センター中央病院)

  • 主任研究者:高橋利明(静岡県立静岡がんセンター)
    仁保誠治(獨協医科大学病院)
    後藤悌(国立がん研究センター中央病院)

  • グループ代表委員:大熊裕介(国立がん研究センター中央病院)
    川嶋庸介(仙台厚生病院)
    釼持広知(静岡県立静岡がんセンター)
    善家義貴(国立がん研究センター東病院)
    田中謙太郎(九州大学大学院)
    田宮朗裕(国立病院機構近畿中央呼吸器センター)
    田宮基裕(大阪国際がんセンター)
    中原善朗(北里大学医学部)
    箱崎泰貴(がん・感染症センター都立駒込病院)
    三浦理(新潟県立がんセンター新潟病院)

  • 設立:1982年

※グループ代表委員とは、グループで行われる臨床試験の計画、実施の際に中心的な役割を担うメンバーです。
※主任研究者に関する詳しい情報は、共同研究班一覧をご覧ください。

                   

概要

肺がんは男性のがん死亡原因の第1位、女性でも大腸がんに次いで第2位を占めます。死亡数は、人口の高齢化にともない特に高齢者で増加しています。肺がんの多くは進行期で発見され、その予後は不良であり、新たな治療法の開発が急務とされます。JCOG肺がん内科グループは、進行肺がんやその他の胸部悪性腫瘍に対する、より有効な新治療法の確立を目的として活動しています。肺がん内科グループは全国の肺がん治療の主要56施設で構成され、新治療法の確立のための臨床試験を意欲的に実施しています。

       

研究のあゆみ

肺がん内科グループが最初の第III相試験JCOG8502を5施設共同で開始したのは1985年でした。幸いにも、JCOG8502は、世界中で高い評価を受けました。それから現在まで、実施した臨床試験は50を超え、参加いただいた患者さんも4,000人以上となりました。日本の肺がんに対する臨床研究は世界のトップレベルにあります。とくに小細胞肺がんに対する治療の進歩については、われわれの研究成果なしで語ることはできません。
肺がんは、生物学的特性や治療への反応性の違いから、小細胞肺がんと、非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど)に分けられます。
進展型小細胞肺がんに対しては、JCOG8502の結果などからシスプラチンとエトポシドの併用療法が、長い間標準治療とされてきましたが、JCOG9511でシスプラチンとイリノテカンの併用療法が、これより優れることが示され、日本の新たな標準治療として確立しました。病変が一側胸郭に留まり根治的な胸部放射線治療が併用可能な限局型小細胞肺がんでは、シスプラチンとエトポシドの併用化学療法と胸部加速過分割照射の同時併用が標準治療とされています。JCOG9104の成果がその根拠の一つとなりました。その後も、さらなる治療成績の向上を目指して、JCOG0509、JCOG0202、JCOG1011、JCOG1205/1206などの試験を実施しました。再発小細胞肺がんに対しても、新たな標準治療の確立のため、JCOG0605(感受性再発)、JCOG0901(治療抵抗性再発)を実施しました。JCOG0605では再発小細胞肺がんに対してシスプラチン、イリノテカン、エトポシドの3剤併用療法が標準治療であるトポテカンよりも優れていることが示されました。高悪性度神経内分泌肺癌完全切除例に対する術後補助療法の第III相試験JCOG1205/1206では、Primary endpointは達成できませんでしたが、この領域で世界で初めて第III相試験を実施したことは重要な成果と言えます。
これからの大きな課題である高齢者の肺がんに対しては、JCOG0301で高齢者局所進行III期非小細胞肺がんの胸部放射線療法に対する低用量カルボプラチン連日投与追加の有用性を示す成果を挙げました。その他にもJCOG9702(進展型小細胞肺がん)、JCOG0207、JCOG0803(進行非小細胞肺がん)、JCOG1210(進行非小細胞肺がん)を実施しました。JCOG1210においては、カルボプラチン、ペメトレキセドの併用療法が標準治療であるドセタキセルと非劣性であることが示され、毒性の面から高齢者進行非小細胞肺がんに対する新たな標準治療として確立することとなりました。
現在は高齢者小細胞肺がんを対象としたJCOG1201、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんを対象とした第III相試験JCOG1404(AGAIN)、臨床病期IA期非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療の第III相試験JCOG1408、免疫チェックポイント阻害薬の至適投与期間を調べる第III相試験JCOG1701、III期高齢者非小細胞肺がんに対する第III相試験JCOG1914、進展型小細胞肺がんに対する胸部放射線治療を検討する第III相試験JCOG2002、進行非小細胞肺がん初回治療における複合免疫療法を比較する第III相試験JCOG2007を準備中です。
また、日本全国の様々な臨床試験グループとの協働も重要な課題です。特に、肺がんの中でも希少な特徴を備えている対象、一般的な治験では除外されている対象に対する治療開発では、複数の臨床試験グループが協力するインターグループ試験の取り組みが進められています。そのような臨床試験として、特発性肺線維症合併進行非小細胞肺がんを対象としたJ-SONIC(JCOG1707INT)、Sensitizing EGFR uncommon mutation陽性未治療非扁平上皮非小細胞肺がんに対するACHILLES(JCOG1810INT)が現在実施されています。

         

今後の展望

近年、JCOG肺がん内科グループを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。日本各地に肺がんの臨床試験グループが組織され、主に進行非小細胞肺がんを対象に多くの臨床試験を実施しています。また、期待される新薬を用いた大規模国際治験に日本からも活発に参加するようになりました。このような変化の中でJCOG肺がん内科グループの果たすべき役割、取り組むべきテーマは何か、をしっかり見極めて進めてゆく必要があります。
年々高額となる抗悪性腫瘍薬の適正使用に関する試験、高齢者の肺がんに関する試験、早期非小細胞肺がんに対する集学的治療を検討する試験、小細胞肺がんに対する試験などはJCOG肺がん内科グループで重点的に取り組むべき領域です。
肺がん化学療法は急速に進歩しています。JCOG肺がん内科グループでは、さらなる発展を目指し、活動を続けてゆきます。

          

※グループ活動の紹介文は、2020年9月に更新したものです。

実績

その他の研究グループ