- グループ代表者:岩田広治(愛知県がんセンター中央病院)
- グループ事務局:井上賢一(埼玉県立がんセンター)
- グループ代表委員:佐治重衡(京都大学大学院医学研究科)
グループ代表委員:木下貴之(国立がん研究センター中央病院)
グループ代表委員:増田慎三(国立病院機構大阪医療センター)
※グループ代表委員とは、グループで行われる臨床試験の計画、実施の際に中心的な役割を担うメンバーです。
はじめに
乳がんによる死亡者数は増加の一途にあり、2004年には10,609人と初めて年間一万人を超えました。女性の乳がんによる死亡率は、胃がん、結腸・直腸がん、肺がん、肝がんについで第5位ですが、45歳から59歳の壮年期女性では第1位になっております。また日本人女性は2001年には約40,000人が乳がんに罹っており、年齢を調整した罹患率では女性のがんの第1位を占めております。(がん研究振興財団のがん統計2007年)。その原因として食事や環境の変化等が挙げられていますが、確定的なものはありません。
薬物療法とは
薬物療法には化学療法、ホルモン療法、分子標的薬療法等があります。
■ 化学療法
化学療法は抗がん剤を用いる治療です。
抗がん剤には様々な種類があり、副作用も白血球減少、吐き気、脱毛、等種々あります。
主な抗がん剤
- アルキル化剤(代表的薬剤:エンドキサン)
- 代謝拮抗剤(代表的薬剤:5-FU)
- 抗腫瘍性抗生物質(代表的薬剤:アドリアマイシン)
- タキサン系抗がん剤等
■ ホルモン療法
乳がんの約60%程度が女性ホルモンの影響を受けて成長・増殖するとされており、その指標であるホルモン受容体が存在する乳がんにはホルモン療法が有効です。また抗がん剤と異なり正常細胞には影響が少ないので、強い副作用はありません。
■ 分子標的薬療法
分子標的薬療法は、がん細胞だけが持つ分子生物学的特徴を狙って、選択的に効く薬剤を用いる治療です。副作用が少なく、有効な治療であることが近年証明されてきました。
これらを組み合わせて行う薬物療法は、その目的から、1) 再発予防のための治療と、2) 再発もしくは進行がんを抑えるための治療、の2種類があります。
1) 再発予防のための治療
手術によりがん病巣は肉眼的には取り除かれたのですが、全身に目に見えないがん細胞が残っている可能性があり、がん再発防止のために薬物療法を行います。個人差はありますが、薬剤によっては副作用が現れる可能性があります。
2) 再発もしくは進行がんに対する治療
手術後乳がんが再発したり、手術が不能なくらいに進行している状態にある場合、現在の病気が進まないよう抑制する目的で薬物療法を行います。またがんによる痛み、圧迫感といった症状がある場合は、これを緩和することも目的です。つまり腫瘍細胞の増殖抑制により、生存期間を延長したり症状を和らげたりすることに主眼が置かれています。
これらの治療は、現在最も効果的と考えられている投与方法(標準的治療)で行われていますが、さらに効果のある治療法の開発・確立が急務です。
JCOG乳がんグループの現在までの取り組み
全国のがん専門病院で組織するJCOG乳がんグループでは、薬物療法を中心とした乳がん治療法の改善・開発を目指して、1985年から現在までに15の臨床試験を行ってきました。それらの臨床試験の概要はこのホームページで御覧頂けます。
JCOG8504では、進行・再発乳がんに対してアドリアマイシン+エンドキサン療法が有効であることが示されました。またJCOG 9802では、再発乳がんに対する代表的治療法であるアドリアマイシン+エンドキサン療法とタキサン系抗がん剤の投与順位について検討し、投与の順番によって生存率の違いがないことが分かりました。その後、しばらく新しい臨床試験が動いていませんでしたが、現在乳がんの集学的治療戦略として、既に遠隔転移があるステージIV 乳がんで、薬物療法に効果を示した方に対して、乳がん原発巣を切除することの意義を検証する試験を計画中です。
JCOG乳がんグループの展望
日本の乳がん罹患率が増加の一途をたどり、ピンクリボン運動などがマスコミ等でも大きく取り上げられることで、多くの国民の方が乳がんに関心を持っていただいています。我々の使命は、乳がんで亡くなる方を減少させ、国民の皆様により効果の高い、安全で安心の乳がん治療をご提案することです。日本の中にはJCOG以外にも臨床試験を遂行するグループが存在しますが、JCOG乳がんグループでは、薬物療法のみならず、外科治療や放射線治療など集学的治療によって、より効果の高い治療手段の確立を目指します。JCOG乳がんグループは、日本全国のがん専門病院の乳がん治療のスペシャリストの集団です。国民の皆様方に還元できる結果を求め(エビデンスの構築)、日々努力していく所存です。
※グループ活動の紹介文は、2010年4月に更新したものです。











